Column

全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談—コラム

働く人の「支出」の現状

働く人それぞれに理想とする望む生活があり、その理想的な生活を実現するための収入と仕事を考えなければならない。 「理想的」な生活とはいえ、個人を取り巻く経済や社会環境等からの一定程度の制限を受けざるを得ない。 個人を取り巻く社会環境から一定程度の影響を受けることを前提とした「理想」的な生活と収入と仕事を考える必要がある。 理想的な生活を成り立たせるため、日本における「収入」と「支出」の現状について見てみたい。 働く人の「収入」については、 国税庁公表による「民間給与実態調査結果」によれば、 2020年12月31日現在、1年を通じて勤務した給与所得者は5,245万人、 その平均給与は433万円であった。 その内、 男性は3,077万人、平均給与は532万円、 女性は2,168万人、平均給与は293万円であった。 さらに20年前の2000年12月31日現在では、1年を通じて勤務した給与所得者は4,494万人、 その平均給与は461万円であった。 その内、 男性は2,839万人、平均給与は567万円、 女性は1,655万人、平均給与は280万円であった。 日本においては20年間で、1年を通じて勤務した給与所得者は751万人増加した一方(男性が238万人増加、女性が513万人増加)、 平均給与は28万円減少した(男性が35万円減少、女性が13万円増加)。 ちなみに常用労働者1人平均総実労働時間数は、 2000年は1,859時間、 2020年は1,685時間、 と20年間で総労働時間は174時間減少している。 次に「支出」の現状について見てみよう。 総務省の「家計調査報告」によれば2020年度、 単身世帯(平均年齢58.5歳)の1ヵ月平均支出は150,506円、 二人以上の世帯(平均世帯人員2.95人、世帯主の平均年齢59.7歳)の1カ月の平均支出は277,926円であった。 単身世帯がどのようなコトやモノに支出しているのかを見てみると、 食料41,373円 住居20,950円 光熱・水道11,687円 家具・家事用品5,393円 被服及び履物4,910円 保健医療7,129円 交通・通信18,310円 教育2円 教養娯楽15,867円 その他の消費支出24,888円となっている。 一方、二人以上の世帯の支出項目を見てみると、 食料80,198円 住居17,374円 光熱・水道21,836円 家具・家事用品12,708円 被服及び履物9,175円 保健医療14,296円 交通・通信39.972円 教育10,293円 教養娯楽24,987円 その他の消費支出47,088円、 となっており、単身世帯に比べると住居以外の項目で全て支出が大きくなっているが、特に教育費について二人以上の世帯では支出のウェイトが高くなっている。 2000年の1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は461万円であったが、2020年の平均給与では433万円と28万円減少している。 支出についてはどうだろうか。 単身世帯の1年間の平均支出金額、 2000年は2,179,370円、 2020年は1,806,076円、 と20年間で373,294円(17.1%)の支出が減少している。 支出項目別に見てみると、 「食料」2000年568,152円→2020年496,472円(71,680円、12.6%の減少) 「住居」2000年306,626円→2020年251,397円(55,229円、18.0%の減少) 「光熱・水道」2000年113,699円→2020年140,239円(26,540円、23.3%の増加) 「家具・家事用品」2000年59,368円→2020年64,714円(5,346円、9.0%の増加) 「被服及び履物」2000年114,711円→2020年58,914円(55,797円、48.6%の減少) 「保健医療」2000年56,866円→2020年85,544円(28,678円、50.4%の増加) 「交通・通信」2000年276,805円→2020年219,717円(57,088円、20.6%の減少) 「教育」2000年126円→2020年29円(97円、77.0%の減少) 「教養娯楽」2000年313,527円→2020年190,399円(123,128円、39.3%の減少) 「その他の消費支出」2000年369,490円→2020年298,650円(70,840円、19.2%の減少)となっており、 20年間で大きく支出が減少したのが「被服及び履物」(48.6%の減少)、「教養娯楽」(39.3%の減少)、「交通・通信」(20.6%の減少)であった。 一方で、大きく支出が増加したのが「保険医療」(50.4%の増加)、「光熱・水道」(23.3%)であった。 単身世帯における大きく減少した支出項目が「被服及び履物」と「教養娯楽」であったことは、単身者の生活における「楽しみ方」が変化していることが推察される。 さらに二人以上の世帯の1年間の平均支出金額について見てみると、 2000年は3,807,937円、 2020年は3,335,114円、 と20年間で472,823円(12.4%)支出が減少している。 同じく支出項目別に見てみると、 「食料」2000年973,680円→2020年962,373円(11,307円、1.2%の減少) 「住居」2000年246,334円→2020年208,488円(37,846円、15.4%の減少) 「光熱・水道」2000年259,546円→2020年262,034円(2,488円、1.0%の増加) 「家具・家事用品」2000年139,148円→2020年152,497円(13,349円、9.6%の増加) 「被服及び履物」2000年206,742円→2020年110,097円(96,645円、46.7%の減少) 「保健医療」2000年137,732円→2020年171,554円(33,822円、24.6%の増加) 「交通・通信」2000年438,748円→2020年479,658円(40,910円、9.3%の増加) 「教育」2000年167,089円→2020年123,514円(43,575円、26.1%の減少) 「教養娯楽」2000年403,055円→2020年299,844円(103,211円、25.6%の減少) 「その他の消費支出」2000年835,862円→2020年565,055円(270,807円、32.4%の減少)となっており、 二人以上の世帯における支出も単身世帯と同様に、大きく減少した支出は「被服及び履物」(46.7%の減少)、「教養娯楽」(26.1%)であるが、二人以上の世帯では「教育」に対する支出もその額を減少させている(25.6%の減少)。 働く人の「理想」とする生活は個々に異なる。 単身世帯を望む人もいれば、家庭を築くことを望む人もおり、それは個人の選択の自由といえる。 どのようなモノやコトに幾ら支出することで望む生活が実現できるか、から得たい収入やそのための仕事を多種多様な選択肢から選んで行くことも、個人化の進む社会における職業選択の在り方と考える。 —望む生活を実現するための収入と仕事。 【引用・参考文献】 ・「令和2年分 民間給与実態統計調査」国税庁(2021) ・「平成12年分 民間給与実態統計調査」国税庁(2000) ・「早わかり グラフでみる長期労働統計」独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021) ・「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要」総務省(2021) ・「家計調査(家計収支編)時系列データ(総世帯・単身世帯)」総務省(2021) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

働く人の「収入」の現状

学校を卒業して、新卒者として会社に入り、定められた定年まで一つの会社で勤め上げる、そのような伝統的・理想的とされたキャリア形成は、過去のものとなりつつある。 現在は、学校を卒業し、その後のキャリア形成は多種多様な選択肢から、個人が自由に決める。 多様な選択肢の中から、個々人が望む生活を営むために必要とされる収入を得られる仕事や職業を選択することになる。 仕事や職業の選択は、個々人の望む生活と必要とされる収入から絞り込まれていく。 大切なことは、個々人の望む生活の価値基準は100%個々人に委ねられており、個人を取り巻く環境から発せられる「声」に❝本来は❞影響を受けないものである。他者の自由な生き方を互いに尊重することが、自由で平等な社会といえる。 個々人が望む生活を営むために必要とされる「収入」の現状について見ていきたい。 望む生活を営むため必要とされるのが収入であり、好ましい収入の水準は個々人の望む生活に準拠する。収入の多寡そのものは、望む生活の側面からは社会情勢の一つの参考値に過ぎない。 国税庁公表による「令和2年分 民間給与実態調査結果」によれば、 2020年12月31日現在、1年を通じて勤務した給与所得は5,245万人、 その平均給与は433万円であった。 1年を通じて働いた5,245万人、その内、 男性は3,077万人、平均給与は532万円、 女性は2,168万人、平均給与は293万円であった。 全業種の平均給は433万円、業種別に平均給与を見てみると、 電気・ガス・熱給与・水道業が715万円、 金融・保険業が630万円、 情報通信業が611万円、 建設業が509万円 学術研究・専門・技術サービス業・教育・学習支援業が503万円、 製造業が501万円、 医療・福祉が397万円、 卸売業・小売業が372万円、 サービス業が353万円、 宿泊業・飲食サービス業が251万円となっている。 全世代の平均給与は433万円、さらに男性の平均給与は532万円、女性の平均給与は293万円、年齢階層別に見てみると、 「20~24歳」の平均給与は260万円、男性平均は277万円、女性平均は242万円、 「25~29歳」の平均給与は362万円、男性平均は393万円、女性平均は319万円、 「30~34歳」の平均給与は400万円、男性平均は458万円、女性平均は309万円、 「35~39歳」の平均給与は437万円、男性平均は518万円、女性平均は311万円、 「40~44歳」の平均給与は470万円、男性平均は571万円、女性平均は317万円、 「45~49歳」の平均給与は498万円、男性平均は621万円、女性平均は321万円、 「50~54歳」の平均給与は514万円、男性平均は656万円、女性平均は319万円、 「55~59歳」の平均給与は518万円、男性平均は668万円、女性平均は311万円、 となっており、男性が年齢に比例して給与が上昇しているのに対して、女性の平均給与は年齢に比例せず300万円前半で推移している。このことは伝統的な日本的雇用慣行と報酬体系が現在でも維持されていることを示している。働く人の働くことへの志向は変化し続けているが、一度定着した雇用慣行と報酬体系が変わるためには長い時間を要することが見てとれる。 伝統的な日本的雇用慣行である長期勤続、年功制賃金が企業において今尚維持されていることを裏付けるかのように、勤続年数別の給与水準を見てみると、 勤続「1年~4年」の平均給与は315万円、男性平均は385万円、女性平均は244万円、 勤続「5年~9年」の平均給与は371万円、男性平均は456万円、女性平均は270万円、 勤続「10年~14年」の平均給与は446万円、男性平均は538万円、女性平均は316万円、 勤続「15年~19年」の平均給与は508万円、男性平均は607万円、女性平均は342万円、 勤続「20年~24年」の平均給与は575万円、男性平均は664万円、女性平均は386万円、 勤続「25年~29年」の平均給与は646万円、男性平均は725万円、女性平均は432万円、 勤続「30年~34年」の平均給与は662万円、男性平均は743万円、女性平均は431万円、 となっており、男女ともに勤続年数に比例して給与平均も伸びている。但し、勤続年数に比例して伸びる平均給与も男女で伸び率が大きく異なることは日本的雇用慣行の課題といえる。 わが国において1年を通じて勤務した給与所得は5,245万人、平均給与別に構成比を見てみると、 「100万円以下」4,420,000人、全勤務者の8.4%、 「100万~200万円以下」7,226,000人、〃13.8% 「200万~300万円以下」8,142,000人、〃15.5% 「300万~400万円以下」9,130,000人、〃17.4% 「400万~500万円以下」7,643,000人、〃14.6% 「500万~600万円以下」5,366,000人、〃10.2% 「600万~700万円以下」3,395,000人、〃6.5% 「700万~800万円以下」2,313,000人、〃4.4% 「800万~900万円以下」1,453,000人、〃2.8% 「900万~1,000万円以下」952,000人、〃1.8% 「1,000万~1,500万円以下」384,000人、〃0.7% 「2,000万~2,500万円以下」124,000人、〃0.2% 「2,500万円~」145,000人、〃0.3% となっており、「300万~400万円以下」9,130,000人が最も多い構成比となっている。 望む生活のために必要とされる収入は、個々人の理想とする生活によって異なる。 望む生活を営むための「手段」が収入と仕事である。 より適切な「手段」を選択するための現状分析に不可欠な基礎的データを読み解くことは、働く人にとって必要といえる。 【引用・参考文献】 ・「令和2年分 民間給与実態統計調査」国税庁(2021) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

仕事よりも大切な命

誰もが個々に望む生活を思い描き、思い描く理想の生活を維持する収入を得るため、仕事を行う。 思い描く理想の生活は、個々に異なるため、必要とする収入、その収入を得るための仕事や働き方も多様となる。 望む生活、必要とされる収入、その収入を得るための仕事や職業の組み合わせは多種多様であるが、自身の働き方や職業選択を俯瞰的に行える人ばかりではない。 本来は多種多様な選択肢が潜在的に広がっているにも関わらず、その選択肢や可能性の❝地図❞を受け取れずに一人悩むケースも少なくない。 厚生労働省「人口動態統計」によれば、2019年の自殺者は1万9,425人(内男性は1万3,668人、女性は5,757人)であった。 自殺の原因については、健康問題が最も多く10,195人、次いで経済・生活問題3,216人、勤務問題が1,918人となっている。 「被用者・勤め人」の自殺者数は6,742人であった。 働くことに関連する「経済・生活問題」と「勤務問題」が自殺の大きな原因となっている現実がある。 さらに年齢階級別の「経済・生活問題」と「勤務問題」を原因とする自殺者数を見てみると、 「経済・生活問題」が主たる理由と考えられる「20~29歳」の自殺者数は417人、「30~39歳」は503人、「40~49歳」は676人、「50~59歳」は778人と、年齢が高まるほど自殺者数が高まる傾向である。 「勤務問題」が主たる理由と考えられる「20~29歳」の自殺者数は409人、「30~39歳」は387人、「40~49歳」は490人、「50~59歳」は418人と、「勤務問題」が全世代に亘って自殺の大きな原因となっている。 生活の仕方、収入を得る働き方、職業の組み合わせは多種多様である。 望む生活と収入、仕事の均衡点を探るには、専門知識を有するカウンセラーとの「対話」が求められる。 無数に見出せる可能性を探り、望む生活を行うためにも。 【引用・参考文献】 ・「令和3年版自殺対策白書」厚生労働省(2021) ・「令和2年中における自殺の状況」厚生労働省(2021) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

受けたハラスメントに「何もしない」が約4割

厚生労働省の「労働安全衛生調査」によれば、54.2%の働く人が「ストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えている。 ストレスになっていると感じる事柄の中で27.0%が「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」であると回答している。 約3割の働く人がストレスに感じしている「対人関係」の中でも、「セクハラ・パワハラ」の実態について見てみたい。 厚生労働省が2021年4月に公表した「職場のハラスメント関する実態調査」では、職場のハラスメントの発生状況やハラスメント行為受けた後の行動等について明らかにしている。 過去3年間での勤務先でのハラスメントの経験を尋ねたところ、 「パワハラを受けた経験がある」が31.4%、 「セクハラを受けた経験がある」が10.2%、 「顧客等からの著しい迷惑行為がある」が15.0%となった。 パワハラ行為を実際に経験した人は3割に上った。 パワハラの「内容」について尋ねたところ、 「精神的な攻撃」が最も多く49.4%、 「過大な要求」が33.3%、 「個の侵害」が24.0%、 「過小な要求」が21.2%、 「人間関係からの切り離し」が20.5%、 「身体的な攻撃」が5.8%となった。 顧客等からの著しい迷惑行為の「内容」については、 「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」が最も多く52.0%、 「名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」が46.9%、 「著しく不当な要求(金品の要求、土下座の強要等)」が24.9%となった。 パワハラを受けたことがあると回答した人の所属する「業種」を見てみると、 「電気・ガス・熱供給・水道業」が41.1%と最も多く、 「建設業」が36.2%、「医療、福祉」が35.5%、「生活関連サービス業・娯楽業」が35.2%となった。 次に「顧客等からの著しい迷惑行為がある」と回答した人の所属する「業種」を見てみると、 「生活関連サービス業・娯楽業」が25.1%と最も多く、 「電気・ガス・熱供給・水道業」23.3%、「不動産、物品賃貸業」が22.6%、「卸売業、小売業」が21.9%となった。 過去3年間に31.4%が「パワハラを受けた経験」があり、10.2%が「セクハラを受けた経験」があり、15.0%が「顧客等からの著しい迷惑行為」がある現状で、ハラスメント行為を受けた後に働く人はどのような行動を起こしているのだろうか。 「パワハラ」を受けた後の行動として最も多かったのが「何もしなかった」35.9%。 「セクハラ」を受けた後の行動として最も多かったのが「何もしなかった」39.8%。 ではなぜ「パワハラ」「セクハラ」を受けた後の行動として「何もしなかった」が最も多かったのだろうか。 「何もしなかった」理由を尋ねたところ、 「何をしても解決にならないと思ったから」がパワハラ、セクハラを受けた人に共通して最も多い回答であった。 (「パワハラ」を経験して「何をしても解決にならないと思ったから」と回答したのは67.7%。「セクハラ」を経験して「何をしても解決にならないと思ったから」と回答したのは58.6%。) 「パワハラ」「セクハラ」を受けた後「何をしても解決にならない」のは本当なのだろうか。 従業員がハラスメントを受けていることを知った勤務先が取った対応について尋ねたところ、 会社は「特に何もしなかった」がパワハラ、セクハラを受けた人に共通して最も多い回答であった。 (「パワハラ」を認識して「時に何もしなかった」と回答したのは47.1%。「セクハラ」を認識して「時に何もしなかった」と回答したのは33.7%。) 最後に、「ハラスメント」が発生する職場の特徴について見てみる。 勤務先でハラスメントを経験した人が指摘した職場の特徴は、 「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」37.7%、 「残業が多い/休暇を取りづらい」30.7%、 「業績が低下している/低調である」28.6%、 「従業員の年代に隔たりがある」27.2%、 「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」23.7%、 といった特徴があげられた。 様々な悩み、不安を抱える働く人が適切に相談できる環境整備が望まれる。 【引用・参考文献】 ・「令和2年『労働安全衛生調査(実態調査』の概況)」厚生労働省(2021) ・「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」厚生労働省(2021) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

生活・収入・仕事の均衡点を求め転職

望む生活と、望む生活を下支えする収入、その収入を得るための仕事、この生活、収入、仕事の3つが心地良く交わることを働く人は求めている。 望む生活のための収入、そして仕事、これらが心地良く交わる点が現在所属している会社において見出し難くなった時、別の会社で均衡点を探すことになる。 生活、収入、仕事の中で、転職を伴いながら均衡点を求める「きっかけ」となる要因について見てみたい。 エン・ジャパン株式会社が行った「『転職のきっかけ』実態調査」によれば、現在の会社から転職を考え始めた「きっかけ」は、 「やりがい・達成感を感じない」が最も多く40%、 次いで「給与が低い」36%、「人間関係が悪い」26%、「自分の成長が止まった、成長感がない」24%であった。 所属している会社から別の会社に移る最も大きな「きっかけ」となっているのは、「やりがい・達成感を感じない」という「仕事そのもの」に関連していることが分かる。 「仕事そのもの」の充実には、自ら目標を設定する余地があり、目標達成に向けて主体的に取組み、目標を達成してゆく、といった成功体験の積み重ねが欠かせない。 「やりがい・達成感を感じない」理由の一つには、働く人が主体的に目標を設定する余地が限られていたり、職務内容が狭く限定的で単純作業に陥ってしまっていることが考えられる。 限定的であった目標の設定や職務内容を広げたいという欲求を、転職を行い就労環境を変えることで満たしているのではないだろうか。 「自分の成長が止まった、成長感がない」といった転職の「きっかけ」についても、同様の理由から醸成される欲求と考えられる。 転職を考える2番目に多い「きっかけ」は「給与が低い」であり、望む生活を実現させるためには、その生活を成り立たせる程度の収入を確保する必要があり、その収入が得られる可能性の高い会社に移ることは自然な傾向といえる。 転職を伴いながら生活、収入、仕事が心地良く交わる点を模索する中で、転職の「きっかけ」として最も大きな要因は「やりがい・達成感を感じない」こと、つまり「仕事」に関連する「きっかけ」、次いで「給与が低い」こと、つまり「収入」関連する「きっかけ」であった。 ここで「望む生活」に関連した転職の「きっかけ」を見てみると、 「残業・休日出勤など拘束時間が長い」が19%、「結婚・出産・介護など家庭の事情」が7%となっている。 「残業・休日出勤など拘束時間が長い」ことが転職の「きっかけ」となっているのは、20代に多く24%と他の年代に比較して「きっかけ」の大きな要因の一つにあげられている。 「結婚・出産・介護など家庭の事情」については、30代が他の年代よりも多く10%の人が「きっかけ」にあげている。 伝統的な勤労観では、「仕事」を最も重要なものとして取り扱うように促され、「収入」は長期勤続の結果として上昇するものとされ、「生活」は「仕事」に傾倒した上で守られるものとの認識が漂っていた。 現在では、望む生活が個々人にあり、望む生活のために収入を得る必要があり、生活と収入の観点も踏まえた仕事、といった観念が広がっている。 生活、収入、仕事の心地良い均衡点を、企業を横断しながらキャリアを通じて模索し続ける働き方が一般化しつつあるといえる。 【引用・参考文献】 ・「『転職のきっかけ』実態調査」エン・ジャパン株式会社(2020) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

得たい収入が叶う仕事の探し方

学校を卒業し、新卒者として入社した企業において、職務遂行能力(職能)を培い、職務遂行能力の伸長に応じて、賃金も上昇していく「伝統的」日本的雇用管理も、企業の人事戦略の見直しや、働く人の仕事や報酬に対する意識の変化などの影響を受け、失われつつあると言われる。 社会人として初めて入社した企業を退職し、新たな企業に転職、新たな仕事の経験を積み、また次なる企業に転職を繰り返しながら、キャリアアップしていく企業横断的なキャリア形成が「一般化」されつつある。 企業横断的なキャリア形成に不可欠な転職と就職について、厚生労働省の調査によれば、転職を行った人の約5割が「現在」の会社について「満足」していると答えている。 特に転職先に「満足」している点は、転職者の約7割が「仕事内容・職種」と回答している。 一方で、他の項目と比較して転職先に対する「満足度」が低かったのが「賃金」であった(「満足」と回答したのは46.6%)。 複数の企業において様々な職務経験を通じてキャリアアップを目指す働き方を選択する際、得たい収入=「賃金」のことは避けては通れない。 どのような業種に転職するか、どのような仕事、ポスト、経験年数をもって転職するか、様々な要因が組み合わさり「報酬相場」が決められていく。 現在の得られる賃金の「相場」について、一般社団法人人材サービス産業協議会が毎年調査し公表している「転職賃金相場」から、望む生活と得たい収入の「相場」について考えてみたい。 この調査における「相場賃金」の算出方法は、2020年4月~8月の間で、首都圏・東海・近畿エリアの求人情報における職種ごとの①募集時最低年収の中央値、と②募集時最高年収の上位15%位を各社から集約し、その最低値~最高値までの範囲を統計処理している。 首都圏における「飲食店の店長・店長候補」の職種に対する「賃金相場」は、最高年収上位15%値に入る募集年収は750万~371万の範囲。一方、最低年収中央値に入る募集年収は350万~250万であった。 定性的な決定者・決定求人内容の特徴を見ると、20代~30代前半で数店舗展開の店長職では400万~599万が「相場」となっている。 また「介護(施設・訪問)」の職種に対する「賃金相場」は、最高年収上位15%値に入る募集年収は500万~336万の範囲であり、一方で最低年収中央値に入る募集年収は317万~250万であった。 さらに、職種別の「賃金相場」では、「地方企業の管理職」に対する相場は、最高年収上位15%値に入る募集年収は1,200万~700万の範囲。一方、最低年収中央値に入る募集年収は560万~300万であった。 定性的な決定者・決定求人内容の特徴を見ると、中堅企業の経理課長などの管理職候補は20代後半~30代が中心で、相場賃金は300~399万となっている。 「IT(Web/アプリケーション)」の職種に対する相場は、最高年収上位15%値に入る募集年収は1,300万~850万の範囲。一方、最低年収中央値に入る募集年収は550万~300万であった。 定性的な決定者・決定求人内容の特徴を見ると、社内SEあるいはSEのリーダークラスで、経験者は、20代後半~40代前半で600万~799万であった。 この調査方法と結果から、自らが望む仕事と得たい収入を考える際は、生活圏内・通勤圏内における複数の募集企業、募集職種の上限報酬と下限報酬を精査し、「相場」感を自ら養うことが肝要であると思われる。 さらにいえば、得たい収入を獲得するための仕事に対する必要要件もあわせて自己点検することで、より理想的な生活と収入に近づけると思われる。 【引用・参考文献】 ・「令和2年転職者実態調査の概況」厚生労働省(2021) ・「転職賃金相場2020」一般社団法人人材サービス産業協議会(2020) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

転職で53.4%が「満足」という結果も

学校を卒業して、会社に入り、多くの働く人が70歳近くまでの長期のキャリアを歩む。 キャリアの捉え方は変化を続けており、これまで「理想的」と捉えられてきた新卒者として入社した会社で定年まで勤め上げ、キャリアを終えるモデルから、企業を横断しながらキャリア形成を行うモデルが「一般化」しつつある。 実際に、一度でも退職経験のある働く人の割合は64.5%となっている。 では、企業横断的なキャリア形成は、働く人にとって「満足」をもたらしているのであろうか。 厚生労働省「令和2年転職者実態調査」によれば、転職を行った働く人の「現在」の会社について、 「満足」しているのが53.4%(「満足」21.4%、「やや満足」32.0)、 「不満足」が11.4%であり(「やや不満」8.8%、「不満」2.6%)、 半数を超える転職者が現在の会社に「満足」し、転職先に不満を抱く人が少ないことが分かる。 さらに、転職先のどのような点に「満足」しているのかを見てみると、 現在の「仕事内容・職種」に満足しているのは69.2%(「満足」30.7%、「やや満足」38.6%)であり、 転職を行うことで「仕事内容・職種」に関しては高い割合で「満足」を得られることが分かる。 ちなみに、現在の「仕事内容・職種」に不満足であるのは8.7%と1割に満たない。 「仕事内容・職種」を軸に据えて企業横断的にキャリア形成を行うことは、キャリアにおける満足度を高めるケースが高いと考えられる。転職により約7割が「仕事そのもの」の満足度が高められた調査結果になったことは、働く人にとっては伝統的なキャリア形成(新卒者として入社した企業で定年までの全ての働く期間を過ごす)だけが既に「理想的」ではなく、主体的に企業を横断することで充実したキャリア形成を行える余地が大きいことを示唆している。 また現在の「労働時間・休日・休暇」について満足しているのは62.3%(「満足」34.6%、「やや満足」27.7%)、 「通勤の便」に満足しているが69.0%(「満足」40.4%、「やや満足」28.6%)、 「人間関係」に満足しているが59.7%(「満足29.9%、「やや満足」29.7%) と労働条件についても満足度が高まる結果となった。 一方で、転職によって現在の勤務先からは「満足」を得られる割合が比較的低かったのが、 「賃金」であり、「満足」が46.6%(「満足」15.7%、「やや満足」30.9%)、「不満足」が27.1%(「やや不満」18.2%、「不満」9.0%)と他の項目に比較して満足度が低い結果となった。 転職先の「役職」についても「満足」34.7%(満足」19.4%、「やや満足」15.2%)に留まった。 働く人が転職を行い、新たな勤務先の「仕事内容・職種」や「労働時間・休日・休暇」の満足度が高く、「賃金」や「役職」に対する満足度が比較的低かったことは、現在の勤務先(転職先)を選んだ「一番の理由」と整合する。 現在の勤務先を選んだ一番の理由は、 「仕事の内容・職種に満足いくから」18.8%、 「自分の技能・能力が活かせるから」18.3%、 「労働条件(賃金以外)がよいから」13.5%、 「転勤が少ない、通勤が便利だから」9.3%、 と望む仕事内容・職種や自身が活かしたい技能・能力を基軸に据えて、転職することで、高い割合で満足度が高い仕事・会社に巡り合えていることが分かる。 一方で、現在の勤務先を選んだ一番の理由として、「賃金が高いから」をあげた割合7.0%と少数に留まっている。 このことから、現在の日本における転職について、より高い賃金を得るための選択としては一般化されていないと思われる。 新卒者として入社した会社に長期間勤務し続けることで得られるものは計り知れないが、一方で、自身が望む「仕事内容・職種」を基軸に据えた企業横断的なキャリア形成については、仕事の満足度・充実度の面を高めることが期待される。 働き方、「理想的な」キャリア形成は変わり続けている。 【引用・参考文献】 ・「全国就業実態パネル調査2021」リクルートワークス研究所(2021) ・「令和2年転職者実態調査の概況」厚生労働省(2021) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

仕事上の悩みと相談相手

働く人は仕事上どのような悩みを抱え、そして誰に相談しているのか。 厚生労働省では毎年働く人の「労働安全衛生調査」を実施し、公表している。2021年7月に公表された「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」から、現在の働く人の悩みについて見てみよう。 仕事や職業生活に関するストレスについて、 「ストレスとなっていると感じる事柄がある」54.2%、 と半数を超える働く人が何らかのストレスを抱えている。 ストレスの内容については、 「仕事の量」が最も多く42.5%、 「仕事の失敗、責任の発生等」が35.0%、 「仕事の質」が30.9%、 「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が27.0%、 「会社の将来性」が20.9%、 「顧客、取引先等からのクレーム」が18.9%、 となっており、ストレスの上位は「社内」の問題に起因することであることが分かる。 20~29歳の若年層のストレスの内容については、 「仕事の失敗、責任の発生等」が最も多く43.8%となっている。 では、仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて、誰に、どのように相談しているのかを見てみよう。 働く人の90.8%が「ストレスを相談できる人がいる」と回答している。 そして、相談できる相手については、 「上司・同僚」が最も多く73.8%、 「家族・友人」が78.5%、 次いで「産業医」が9.6%となっている。 ここから働く人の多くは、仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて「上司・同僚」もしくは「家族・友人」に相談しており、その他の相手に相談している人は1割にも満たないことが分かる。 なお、5.6%の働く人は「ストレスを相談できる人はいない」と回答している。 働く人の90.8%は仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて「相談できる人」がいることが分かったが、では、実際に相談した人の割合を見てみると、 「実際に相談した」働く人は74.1%となっている。 逆に「実際に相談したことはない」は14.7%であった。 「実際に相談した相手」は「上司・同僚」が67.6%、「家族・友人」が73.5%と、実際に相談する相手としては「家族・友人」が最も多いことが分かった。 ちなみに、2002年調査と比較してみると、 仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスを抱えていると回答した割合は、 2020年調査では54.2%、2002年調査では61.5%と、7.3ポイント現在の方が低い。 また「相談できる人がいない」と回答した割合では、 2020年調査では5.6%、2002年調査では11.0%と、5.4ポイント現在の方が低い。 統計からは、2000年代初期よりは現在の方が、仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて緩和されているように見える。 不安や悩み、ストレスを相談する相手がいなかったり、相談する相手がいたとしても実際には相談しなかった、といったことは残された課題といえよう。 【引用・参考文献】 ・「令和2年『労働安全衛生調査(実態調査』の概況)」厚生労働省(2021) ・「平成14年労働者健康状況調査の概況」厚生労働省(2002) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

仕事に満足していても、不安な今後のキャリア

リクルートワークス研究所『全国就業実態パネル調査2021』によれば、これまで退職経験をしたことのある働く人は、64.5%であった。長いキャリアの中で、退職と退職に伴い新たな生活を始めることは「一般的」なことになっている。 退職理由については「人間関係への不満」、「賃金への不満」、「仕事内容への不満」、「会社の将来性や雇用安定性への不安」、「労働条件や勤務地への不満」など、多岐に亘っているため「一般的には」といった言及は難しい。 現在の「一般的」となっている転職を含むキャリア形成の現状をもう少し明らかにしてみたい。同調査では、直近1年間における「仕事」について詳細に尋ねている。 6割以上が長いキャリアの中で一度は転職を経験している現在、働く人はどのような意識を「仕事」に抱いているのだろうか。 「仕事のそのものに満足しているか」について、正規社員の場合、 「あてはまる」(=満足している)36.7%、 「あてはまらない」(=満足していない)26.1%、 と仕事そのものに満足している割合の方が高い結果になっている。 (「あてはまる」5.6%、「どちらかというとあてはまる」31.1%、「あてはまらない」10.1%、「どちらかというとあてはまらない」16.0%) 転職する傾向が強い若年層について見てみても、「25~34歳」の場合、 「あてはまる」(=満足している)は36.7%、 「あてはまらない」(=満足していない)は26.7%、 とやはり仕事そのものに満足している割合の方が高い。 (「あてはまる」5.7%、「どちらかというとあてはまる」31.0%、「あてはまらない」10.3%、「どちらかというとあてはまらない」16.4%) ここから「仕事そのもの」については、不満足よりも、満足している人の割合の方が高いことが分かる。 次に、会社・仕事選びの際に重視されている「自分が成長できるか」の点について、「仕事を通じて『成長している』という実感を持っているか」について尋ねたところ、正規職員の場合、 「あてはまる」(=成長を実感している)は30.0%、 「あてはまらない」(=成長を実感していない)は29.9%、 と僅差ではあるが、仕事を通じて「成長をしている」という実感を持っている人の割合が高い。 (「あてはまる」4.3%、「どちらかというとあてはまる」25.7%、「あてはまらない」11.8%、「どちらかというとあてはまらない」18.1%) 仕事を通じて「成長をしている」という実感を持っているかについて「25~34歳」の場合、 「あてはまる」(=成長を実感している)は36.4%、 「あてはまらない」(=成長を実感していない)は27.2%、 と「成長」を実感している割合が更に高くなっている。 (「あてはまる」6.1%、「どちらかというとあてはまる」30.3%、「あてはまらない」10.8%、「どちらかというとあてはまらない」16.4%) ここから仕事を通じて「成長」を実感している若年層は、実感できていない人より多い傾向であることが分かった。 現在の働く人は、仕事そのものについて不満足を抱えている人よりも満足感を得ている人の割合の方が高く、仕事を通じて成長を感じられない人よりも成長を実感できている人の割合の方が高い傾向であることが分かった。 それでは「今後のキャリアの見通しが開けている」かどうかを見てみたい。 「今後のキャリアの見通しが開けている」かについて(正規職員の場合)、 「あてはまる」(=今後のキャリアの見通しが開けている)は16.3%、 「あてはまらない」(=今後のキャリアの見通しが開けていない)は41.6%、 と今後のキャリアの見通しが開けていない人の割合の方が大きい結果となった (「あてはまる」2.2%、「どちらかというとあてはまる」14.1%、「あてはまらない」18.8%、「どちらかというとあてはまらない」22.8%) 「今後のキャリアの見通し」については、「45~54歳」が、 「あてはまる」(=今後のキャリアの見通しが開けている)は12.8%、 「あてはまらない」(=今後のキャリアの見通しが開けていない)は44.0%、 とキャリアの見通しが開けていない割合が最も大きい世代となった。 (「あてはまる」1.4%、「どちらかというとあてはまる」11.4%、「あてはまらない」23.8%、「どちらかというとあてはまらない」20.2%) ここから現在の働く人にとっては「今後のキャリア」を見通すことが難しい環境であることが示唆される。 仕事そのものについて満足感を得られていて、さらに仕事を通じて成長を実感できていても、今後のキャリアが見通すことが難しい時代において、望む生活と仕事の均衡点を見つけることもまた難しい時代と言えるのではないだろうか。 【引用・参考文献】 ・「全国就業実態パネル調査2021」リクルートワークス研究所(2021) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談

望む生活の中に「働くこと」を位置づける

リクルートワークス研究所『全国就業実態パネル調査2021』によれば、これまで退職経験をしたことのある働く人は、64.5%であった。6割を超える働く人が退職を経験し、そして新たな生活をスタートさせている。 一度就職した会社をどんな理由であれ辞める、退職することをもう少し見てみると、 退職経験がない、つまり退職回数「0回」は働く人全体では32.5%、 「1回」17.1%、「2回」14.4%、「3回」11.6%、「4回」6.2%、「5回」5.9%、「6回~10回」7.2%、「11回以上」2.1%となっており、複数回の退職を経験している人も多いことが分かる。 年代別に見てみると、退職をしたことがない働く人の割合が、年齢を重ねるごとに減少している。 現在、長いキャリアの中で、退職と新たな生活を始めることは「一般的」なことになっている。 退職をしたことのない割合、「15~24歳」83.0%、「25歳~34歳」58.5%、「35歳~44歳」43.1%、「45歳~54歳」39.2%、「55歳~64歳」33.6%。35歳以上は、退職を経験していない人の方が少なくなっている。 キャリア形成を考える上で、退職し、次の生活をスタートさせるにあたり、現在の同じ業種間で移動するか、それとも別の分野に挑戦するかで、大きく生活の質が異なってくる。 同調査においては、正規社員の場合、同業種間移動(転職)の割合は47.1%、異業種間移動(転職)が33.9%となっており、同じ業種間で移動(転職)を行う働く人の割合の方が若干多いことが分かる。 さらに、職種について見てみると、 同業種内で「同職種」移動(転職)をした人は21.7%、 同業種内で「異職種」移動(転職)は6.8%、 異業種間で「同職種」移動(転職)は15.2%、 異業種間で「異職種」移動(転職)は24.8%、 であり、異業種で更に異なる職種に転職する人の割合が最も高くなっている。 様々な業種且つ多様な職種の経験を積むことが、特別なキャリア形成ではなくなってきている。 また、転職後1年目の賃金については、正規社員の場合、 転職前に比べて10%以上「上がった」人の割合は28.6%、 一方、転職前に比べて10%以上「下がった」人の割合は33.5%、 と若干ではあるが「下がった」人の割合の方が高い。 しかしながら、「15歳~24歳」では、 転職前に比べて10%以上「上がった」人の割合は38.2%、 一方、転職前に比べて10%以上「下がった」人の割合は27.4%、 と転職することで賃金が上がっている人の割合の方が高い結果となっている。 「25歳~34歳」についても転職によって賃金が上昇している人の方が多くなっている。 さらに、転職後2年目の賃金に至っては、 転職前に比べて10%以上「上がった」人の割合は46.0%、 一方、転職前に比べて10%以上「下がった」人の割合は24.8%、 と「上がった」人の割合の方が、「下がった」人の割合を逆転する結果となっている。 ここから転職することで賃金が増加する可能性も高まっていることが分かる。 最後に、退職理由について見てみると、正規社員の場合、 「人間関係への不満」14.8%、 「賃金への不満」12.0%、 「仕事内容への不満」11.9%、 「会社の将来性や雇用安定性への不安」10.0%、 「労働条件や勤務地への不満」9.8%、 となっており、突出して高い割合の退職理由はなく、個人が多種多様な退職・転職理由と動機を有していることが分かる。 法律も改正され、今後は70歳までの長きに亘るキャリア形成が求められる時代となる。 新卒者として入社した会社で、生涯に亘るキャリア形成を成すモデルは既に一般的ではなくなっている。 複数の企業で、複数の職種を経験しながら、キャリア形成を行うことが「普通」である時代においては、幅広く「働くこと」について知見を有する者と相談しながら、自己の望む生活の中で労働をどのように位置づけるかを探ることが求められていると言えよう。 一企業内に留まらず、幅広く「働くこと」の専門家に気軽に相談できる仕組みが求められている。 【引用・参考文献】 ・「全国就業実態パネル調査2021」リクルートワークス研究所(2021) —全ての働く人のためのチャット仕事悩み相談