受けたハラスメントに「何もしない」が約4割

「何もしない」理由は「何をしても解決にならないと思ったから」が6割を超える。

厚生労働省の「労働安全衛生調査」によれば、54.2%の働く人が「ストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えている。
ストレスになっていると感じる事柄の中で27.0%が「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」であると回答している。
約3割の働く人がストレスに感じしている「対人関係」の中でも、「セクハラ・パワハラ」の実態について見てみたい。

厚生労働省が2021年4月に公表した「職場のハラスメント関する実態調査」では、職場のハラスメントの発生状況やハラスメント行為受けた後の行動等について明らかにしている。

過去3年間での勤務先でのハラスメントの経験を尋ねたところ、
「パワハラを受けた経験がある」が31.4%、
「セクハラを受けた経験がある」が10.2%、
「顧客等からの著しい迷惑行為がある」が15.0%となった。

パワハラ行為を実際に経験した人は3割に上った。
パワハラの「内容」について尋ねたところ、
「精神的な攻撃」が最も多く49.4%、
「過大な要求」が33.3%、
「個の侵害」が24.0%、
「過小な要求」が21.2%、
「人間関係からの切り離し」が20.5%、
「身体的な攻撃」が5.8%となった。

顧客等からの著しい迷惑行為の「内容」については、
「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」が最も多く52.0%、
「名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」が46.9%、
「著しく不当な要求(金品の要求、土下座の強要等)」が24.9%となった。

パワハラを受けたことがあると回答した人の所属する「業種」を見てみると、
「電気・ガス・熱供給・水道業」が41.1%と最も多く、
「建設業」が36.2%、「医療、福祉」が35.5%、「生活関連サービス業・娯楽業」が35.2%となった。

次に「顧客等からの著しい迷惑行為がある」と回答した人の所属する「業種」を見てみると、
「生活関連サービス業・娯楽業」が25.1%と最も多く、
「電気・ガス・熱供給・水道業」23.3%、「不動産、物品賃貸業」が22.6%、「卸売業、小売業」が21.9%となった。

過去3年間に31.4%が「パワハラを受けた経験」があり、10.2%が「セクハラを受けた経験」があり、15.0%が「顧客等からの著しい迷惑行為」がある現状で、ハラスメント行為を受けた後に働く人はどのような行動を起こしているのだろうか。

「パワハラ」を受けた後の行動として最も多かったのが「何もしなかった」35.9%。
「セクハラ」を受けた後の行動として最も多かったのが「何もしなかった」39.8%。

ではなぜ「パワハラ」「セクハラ」を受けた後の行動として「何もしなかった」が最も多かったのだろうか。
「何もしなかった」理由を尋ねたところ、
「何をしても解決にならないと思ったから」がパワハラ、セクハラを受けた人に共通して最も多い回答であった。
(「パワハラ」を経験して「何をしても解決にならないと思ったから」と回答したのは67.7%。「セクハラ」を経験して「何をしても解決にならないと思ったから」と回答したのは58.6%。)

「パワハラ」「セクハラ」を受けた後「何をしても解決にならない」のは本当なのだろうか。
従業員がハラスメントを受けていることを知った勤務先が取った対応について尋ねたところ、
会社は「特に何もしなかった」がパワハラ、セクハラを受けた人に共通して最も多い回答であった。
(「パワハラ」を認識して「時に何もしなかった」と回答したのは47.1%。「セクハラ」を認識して「時に何もしなかった」と回答したのは33.7%。)

最後に、「ハラスメント」が発生する職場の特徴について見てみる。
勤務先でハラスメントを経験した人が指摘した職場の特徴は、
「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」37.7%、
「残業が多い/休暇を取りづらい」30.7%、
「業績が低下している/低調である」28.6%、
「従業員の年代に隔たりがある」27.2%、
「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」23.7%、
といった特徴があげられた。

様々な悩み、不安を抱える働く人が適切に相談できる環境整備が望まれる。

【引用・参考文献】
・「令和2年『労働安全衛生調査(実態調査』の概況)」厚生労働省(2021)
・「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」厚生労働省(2021)

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