働く人は仕事上どのような悩みを抱え、そして誰に相談しているのか。
厚生労働省では毎年働く人の「労働安全衛生調査」を実施し、公表している。2021年7月に公表された「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」から、現在の働く人の悩みについて見てみよう。
仕事や職業生活に関するストレスについて、
「ストレスとなっていると感じる事柄がある」54.2%、
と半数を超える働く人が何らかのストレスを抱えている。
ストレスの内容については、
「仕事の量」が最も多く42.5%、
「仕事の失敗、責任の発生等」が35.0%、
「仕事の質」が30.9%、
「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が27.0%、
「会社の将来性」が20.9%、
「顧客、取引先等からのクレーム」が18.9%、
となっており、ストレスの上位は「社内」の問題に起因することであることが分かる。
20~29歳の若年層のストレスの内容については、
「仕事の失敗、責任の発生等」が最も多く43.8%となっている。
では、仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて、誰に、どのように相談しているのかを見てみよう。
働く人の90.8%が「ストレスを相談できる人がいる」と回答している。
そして、相談できる相手については、
「上司・同僚」が最も多く73.8%、
「家族・友人」が78.5%、
次いで「産業医」が9.6%となっている。
ここから働く人の多くは、仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて「上司・同僚」もしくは「家族・友人」に相談しており、その他の相手に相談している人は1割にも満たないことが分かる。
なお、5.6%の働く人は「ストレスを相談できる人はいない」と回答している。
働く人の90.8%は仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて「相談できる人」がいることが分かったが、では、実際に相談した人の割合を見てみると、
「実際に相談した」働く人は74.1%となっている。
逆に「実際に相談したことはない」は14.7%であった。
「実際に相談した相手」は「上司・同僚」が67.6%、「家族・友人」が73.5%と、実際に相談する相手としては「家族・友人」が最も多いことが分かった。
ちなみに、2002年調査と比較してみると、
仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスを抱えていると回答した割合は、
2020年調査では54.2%、2002年調査では61.5%と、7.3ポイント現在の方が低い。
また「相談できる人がいない」と回答した割合では、
2020年調査では5.6%、2002年調査では11.0%と、5.4ポイント現在の方が低い。
統計からは、2000年代初期よりは現在の方が、仕事や職業生活に関する不安や悩み、ストレスについて緩和されているように見える。
不安や悩み、ストレスを相談する相手がいなかったり、相談する相手がいたとしても実際には相談しなかった、といったことは残された課題といえよう。
【引用・参考文献】
・「令和2年『労働安全衛生調査(実態調査』の概況)」厚生労働省(2021)
・「平成14年労働者健康状況調査の概況」厚生労働省(2002)
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